心身症同書の抜粋私はまた光安整形外科へ舞い戻っていく。 光安医師は 「もう一年半以上もプールへ通われたんですね。筋肉も充分についたはずだし、それでも腰痛が治らなかった人はいないですよ。ということは骨や筋肉の問題ではない。原因はメンタルのところにあるんじゃないですかね・・・」 と知り合いの精神科医を紹介されるも、次々と精神安定剤が処方されただけだった。 翻って見ればこれまでお世話になった何人もの整形外科の先生方は身体に器質的疾患を見出しておられない。そして時がたつにつれて「心因性」の見方に集約されてくるようだ。 しかし、素人の、だが誰よりも自分のことは自分でわかるはずの私としては心因性には肯んじられない。本能と直感が「NO]と叫ぶ。原因が見当たらないうえ漠然たる心因でこれほど激甚な症状が発生するとは到底信じられないのだ。いやもっと正直に言えば、先生方は私の腰痛を治しようがなくて、仕方がないから「心因」というつかみどころのないものに背金員を添加して逃げてしまってるような気がした。 河合隼雄氏が言った 「人間は大きな変革をするとき生みの苦しみのようなものを味わうことがあるんですよ、それがクリエイティブな仕事している人だと、ジャンルを変えたりする場合などにね」 私はここ二三年ミステリーを離れた新しい作品を書き始めていたことを思い合わせドキリとした。 95年4月彼女は九州大心理学教授藤原勝紀氏のカウンセリングを受けた。 7月下旬まで治療は福原治療院に通った。 その間福原氏の紹介で、カイロプラクティックの道では知らない人はいないという、及川淳氏の診断を受けるも、立派な体をされている私には治せないのでもっと名医のところに行きなさい」と言われる。 直後福原氏から「尾てい骨も仙腸関節も良くなっています。症状は後から取れてくる」と言われるも、「良くなっている」と聞いた瞬間、「大勢の患者は治ったかもしれないが、私には効かない。いくら通っても無駄だ」とはっきりと悟った。 その後、究極の治療機関と紹介され、東洋医学と西洋医学をミックスした、東京女子大東洋医学研究所で治療も胃腸が弱っているので筋肉が弱化している。鍛えてよくなるようなレベル以下まで落ちているので運動は疲労をためるだけだ、漢方と鍼灸で治すしかない」 と言われ、まったく、私はこれ以上東京にとどまって治療のワンダーリングを続ける気力を急速に失った。 福岡に帰り 枇杷の葉温灸、硬膜ブ外ブロック、ホルモンなどで治療も改善はなし。 友人の紹介で内科と心療内科の医師、平木英人医師を紹介され診察を受けたところ、 「典型的な心身症ですね」と診断され、「心身症とは、精神的に健康な社会人に、ストレスや生活様式の悪影響などが原因となり、さらに各自の体質が絡み合って、様々な身体症状が引き起こされたケースのことを言う」 説明を受ける。 |